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M-1グランプリ 2022 感想 / ウエストランド さや香 ヨネダ2000

まさか初っ端からネタではないところで衝撃が走るとは。カベポスターの今回のネタは見たことがあったので個人的にはM-1での新鮮度は少なかった。それでも面白いのは間違いないし優勝候補最有力くらいに思っていたので山田邦子の84点には驚いた。それでもそれを通してくれれば文句はないと思っていたら次の真空ジェシカには95点。そして11点差の説明はなし。というか本当に明確な理由はないんだろうなという感じの話しぶりに2組目にして大炎上大会かと思われた。最終的にはファイナルの3組選出への影響が少なかったので事なきを得た感はあるが、ファイナルに残れなかった組のその後の人生の影響を考えたら4位~10位も正当にジャッジする責任がある。

 

以前にも似たようなことを書いたが、お笑いはスポーツと違って評価に共通の数値がない。審査員の好みもあるし、それまで見てきたお笑いの経験値も異なる。違って当たり前。差がついて当たり前。暗黙の了解なのか80点~100点の間に収まるようにはなっているが、80点の次に100点を付けても文句はない。でも大差の説明はしてくれ。正直2~3点差なら会場の空気感とか前の組の影響やら、なんなら審査員のその日の体調でも変わる範囲だと思うし、相対評価の1組目と10組目なんて人間の記憶力ではそもそも無理だと思う。変な話すべてに明確な理由がある配点だと言う審査員がいたらむしろ危ういので速攻で外してほしいくらい。感覚の占める割合が高い競技であること、理屈が分からないジャッジもあることは前提として、それでもやはり11点差には説明責任があると思う。

 

ネタの内容以外のところで長々書くのも嫌なので以下個人的感想。今回は全く知らないコンビはいなかった。ただM-1での力量が未知数だったのはヨネダ2000とダイヤモンド。典型的な漫才とはかけ離れたところにいる2組だったので極端な点数になると予想。カベポスターと真空ジェシカが優勝候補。と思っていたら那須川天心のせいで混戦になるw 男性ブランコ、ロングコートダディはひいき目。敗者復活戦も見ていたが明らかに突き抜けたコンビがいなかったので今年はなし。等々考えていたらそんな予想は超えてくるのがM-1なんだなとあらためて思わせてもらった。

 

1組目 カベポスター 大声大会に思わず本人参戦

2つの運が悪かった。まずはどんな大会も誰かが引く10%の1番手。そして立ちはだかった初審査1回目の山田邦子。短尺アレンジで物足りなさはあったが十分面白かった。しかし幸か不幸か大爆発はなく、度合いとしては3位以内は微妙なところかなという感じだった。審査のさじ加減次第で勝ち上がれたとも思えない。中途半端に禍根を残すくらいなら、来年以降に文句なしのネタで勝ち上がってほしい。実力は折り紙付きだと思うから。

 

2組目 真空ジェシカ 今年はさらに老人多め

こちらは山田邦子の支持を得るも松本がハマらず。大喜利要素の強い彼らなので松本好みかと思いきや何故か不満そう。文字で読んだら最も面白そうなネタではある。しかしこれはM-1なので分かりやすさ聞き取りやすさも求められているとしたらマイナスと取られかねない部分は彼らには多い。最近やってない?がMBS漫才アワードのように高校生だけの審査とかだと高得点になるのかもしれない。派遣のニューウェーブとか面白かったけど今の高校生は知らんやろw

 

3組目 オズワルド 期待のプレッシャーを物ともせず勝ち上がる

今年の敗者復活戦は用事をしながら7割くらい観れた。その中では個人的に面白かったのと会場の盛り上がり的にはダンビラムーチョかなあと予想したら、途中の視聴者得点が思ったより伸びず自分のセンスに自信がなくなる。結局オズワルドは同じネタをやっていたけれどいつもほどはパンチがなかった。致死量を超えた麦茶の味はとても好きですw

 

4組目 ロングコートダディ マラソンー1グランプリ

相変わらずの入りだけ漫才のコント。彼らが勝ち上がるには笑いの手数が必要と思っていたら今回はやってくれた。次々抜いていくマラソンランナーのWボケ&ツッコミ。ツッコミにもボケ要素が含まれているのでテンポも数も彼ららしからぬスピード感だった。前3組が爆発しきれない中で高得点をマーク。ただ最後まで守り切れるかは微妙なライン。

 

5組目 さや香 意外な免許返納

そこまで個人的には期待していなかった。入りもアレッ?新山がツッコミやったっけと思いながら見ていた。それがだんだんと加速していき尻上がりに面白くなる。設定の着眼点も良く手数も爆発力もあった。王道漫才の正統進化といった感じ。ファーストラウンドトップも納得の出来だった。ただ頭をよぎったのは去年のオズワルド。はじめが良すぎるとファイナルで減速してしまう。

 

6組目 男性ブランコ りくろーおじさん

ここは好みなコンビ。面白かった。ただ浅間山荘などの細かいボケを除けば4回の大ボケは少ない。テンポ早めでもう2つくらい入れるか、後ろにもっと大きなボケが欲しかった。長尺でずっと観てたいネタだけど、ここは4分勝負のM-1なので改良が必要か。ラヴィットで浦井の妹さんが音符持って出てきたヤツは画像でしか見てないけど面白過ぎた。チーズケーキ食べたい。

 

7組目 ダイヤモンド 不自然ローソン

おもしろ荘から何度か見たけど残念。M-1にそのネタは厳しかった。終始なるほどなあと思うだけで面白さはなかった。舞台が違うと雰囲気で面白く感じるのだろうか。誰かダメ出し出来る芸人に見てもらえば止めてもらえたと思うけど。面白いワードが含まれててもなるほどが勝ってしまう。

 

8組目 ヨネダ2000 DA PUMPの混ぜ具合

ハリセンボン以来の女性コンビでの決勝進出。最近の活躍からすれば既に不思議ではない実力。今年は訳分らん枠が少ない中で女性でありながら最大にぶっ飛んだネタで勝負に来た。いや凄い。個人的にはこの時点で男性ブランコを超えたと思ったが惜しくも届かず。いったいどういう思考であのネタにたどり着くのか。最近は女性芸人も面白いコンビが増えてきたけど正攻法で彼女たちに勝つのは大変だろう。

 

9組目 キュウ もう1ひねりでしょう

フォーマットは面白いと思う。ただオチのための前振りが多い。4分ネタでは厳しいしもう1段階異なる展開が欲しかった。もう終わり?といった印象。志らくの言った通りM-1には彼らなら他のネタで勝負してほしかった。ネタ選びってやる側にとっては難しいんだろうなとあらためて思う。キュウもM-1決勝常連になる力は持っていると思う。

 

10組目 ウエストランド まさかの直撃を受ける

なんか爆撃機の動画を観ているかのよう。河本の出すクイズを標的に前のめりで攻撃する。お笑いのネタの分析するヤツでまさかの被弾。井口のカメラ目線は秀逸だった。やたらめったら罵詈雑言を言ってるようで細かい天丼や伏線回収も散りばめて笑いを倍増させている。警察に捕まり/はじめているが良かった。井口からは皆目見当違いと言われるだろうけどw

 

ファイナル1組目 ウエストランド 爆撃止まらず

滑りこみ3位の勢いをそのままにあるなしクイズという名の悪口攻撃を継続。自分たちでつくった毒舌が面白いという会場の雰囲気の流れを最大に活かすことに成功。今年も10組目というハンデが少なからず有利に働いたと思う。標的もトーンダウンせず、大阪の笑いやM-1にすら牙をむく。ファイナルにも残していた砲弾が見事だった。

 

ファイナル2組目 ロングコートダディ もう帰るボタン

去年縛りとはいえ映画村はどの年でも同じ江戸時代なので、最後もいかにも去年らしいエピソードであればもっと良かったと思う。マラソンと順番が逆だった場合はファイナルに勝ち残れたかは分からないし、どちらにしても軍配はウエストランドかな。最も応援していたが残念。大変だけど来年こそ取ってほしい。

 

ファイナル3組目 さや香 まさかの逆転劇

冒頭に噛んだ噛まないが気になるのはプロ目線かと思う。空気も大事だがネタが面白ければ挽回できるし些細なこと。ただ僅差の審査の場合に差の理由にされてしまう恐れがある。ずっと攻めていたツッコミが解釈の違いで逆転したところは素晴らしかった。2ネタ合わせたら漫才としての満足感はトップだったと思う。でも今年はウエストランドのインパクトにはどのコンビもかすんでしまった。

 

正直なところウエストランドの優勝は最もないと思っていた。オッズがついていたとしたらおそらく高い、すなわち大方の予想を裏切ったのではないだろうか。個人的にもファイナル進出、ファイナル1位に異論なかった。審査員は気を使ってか毎度のことながら僅差を強調していたが、近年では珍しく今回のファイナルに接戦感はなかった。それが得点につながったとは思わないが、井口だけに憎悪の念をまとった気迫が見えた(いつもかw)

 

毒舌漫才の賛否が出てはいる。ただ面白かったかどうかには結局影響していなかったように思う。受けつけない人には無理なコンビだろうし、より面白がる毒舌好きもいるだろう。今回のウエストランドの何が面白かったのかを分析すればやはり着眼点といえるのではないだろうか。前回の決勝のときは批判対象がゆるめで、毒の中途半端さに比例して得点も伸び悩んだ。彼らの方向性で優勝を狙うなら、炎上覚悟の攻撃力増し増しで行くしかないと思っていた。単純に相手を傷つけることもやむなしと。今回の漫才を見たときにそうではないことに気づかされた。単なる共感を得る代弁者でもなく、見ている者がなんとなく感じていた違和感を具体化する怒りの権化となっていた。

 

前々回のM-1からの進化が凄い。ウェストランドのこのスタイルでは絶対に勝ち上がれてもファイナルや優勝はないと思っていた。まさに皆目見当違いw やみくもな毒舌の連呼ではなく攻撃対象の共通項を突いてくる巧みさ。一見同じようなネタと見せかけて笑いの増幅が大きくなっていた。ましてや傷つけない笑いを一蹴するオフェンシブ漫才。リアルタイムな時事を入れて新鮮さも武器にしている爆笑問題と比べると竹槍感が半端ない。でもそこが面白い。

 

若手芸人のほとんどが目指す称号と権威を得てしまった彼らは、これからこの卑屈スタンスの笑いをどうするのかも気になる。錦鯉の長谷川さんは今でもM-1王者っぽい振る舞いではないので心配ないのかもしれない。冒頭に審査への批判をしてしまったが、山田邦子以外の得点では特に松本のせいで、何故か合計得点の並び順はM-1史上個人的には最も違和感のない順位だったのが不思議なところ。しかし私はだまされない。もっと精度の高いジャッジを望むw

 

追記 時間なくてアップ出来ないうちにアナザーストーリーが昨日放送された。結局いつも通り井口が母ちゃんに電話しとるw ここで最後の大落ちw でも河本の結婚式での井口のスピーチは良かった。河本もいろいろと抱えているものがあって本当に優勝出来て良かったなと思う。アナザーストーリーはウザくない!w