ジャルジャルの決勝ネタの「空き巣+タンバリン」は全く面白くなかった。彼らの不思議なところは面白いコントや漫才を量産している中で、たまに首を捻るくらい面白さが分からないネタがホリこまれることだ。2018年のM-1でも1本目は「国名わけっこ」という神がかったネタだったが2本目の「自己紹介」はそれ2本目でやる?くらい残念な感じだった。ジャルジャルは面白いネタをたくさん持っているのにここぞという時のネタのチョイスが危ういというイメージがある。サンドウィッチマンやナイツ、バイきんぐのような安心感がない。その分ハマったときの爆発力は凄まじいのだが・・・。
2019年のキングオブコントに比べると総じてインパクトが少なかった。1本目のジャルジャルの1位通過に異存はない。ジャルジャルが突き抜けていたというよりも他がそれほどではなかったと言わざるを得ない。昨年トップバッターで強烈な爪痕を残したうるとらブギーズも、熾烈な最終決戦進出争いをしたGAGも不発だった。空気階段は2本とも面白かったけれど納得して笑える人は少なそうだった。
そんな中で斬新さが際立ったのは「ニッポンの社長」 ケンタウロス設定は観客の期待値を上げたがまさかの方向性に笑った。笑いの幅広さを知らしめるという点では最高点だった。この場所が最高峰の賞レースの決勝であることを考えれば斬新さや王道さよりも面白さが優先されるはずのところをあきらかに奇をてらってきている。ハマれば優勝を狙えたレベルのネタだったと言えるが、同じプロの審査員のジャッジは正当に面白さを優先したと思う。もう1捻りあれば突き抜けたネタになったかも。
もう1組は斬新さとは真逆だった「ニューヨーク」 こちらは面白さ最優先感が凄かった。彼らの前にザ・ギースが楽器演奏や紙切りを駆使した笑いだったのに対してすべてやってる設定。むしろザ・ギースが前振りになって適当さが面白かった。嶋佐のボケのたたみかけも、昨年M-1で松本に酷評された屋敷のツッコミも清々しく心地よかった。2本目も面白かったけれど、帽子取ったらどうなるというのが気になって小ボケの数々が笑いにくかった。でも個人的総合点ではニューヨークが1位かな。最も面白かったというよりもジャルジャルの2本目が?だったので。
R-1と異なりコロナ対策はしつつある程度観客は入れていたようだ。録画のバラエティ番組にあるような足した笑いではなく、素の観客の笑いはやはりあった方がいいように感じた。それに慣れてきたと言えばそれまでだが、一緒に会場にいるような自然な感覚があった。ちらほらテレビ局の側の不自然な笑いが聞こえる会場は冷める。
ジャングルポケットの声の張り具合は圧巻だなあ。劇場映えしそう。