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THE W 2021 感想 / オダウエダ Aマッソ 天才ピアニスト

尻上がりに面白かった。最終結果は三者三様で判断が難しい。Aマッソか天才ピアニストだろうと思ったが予想外の結果からのあっという間の番組終了。これは荒れるなあ。なかなかにお笑い賞レースの問題定義をしてくれる大会だった。

 

オダウエダは良かった。ハッキリ言って好みの芸風。それでも他を圧倒しているほどではなかった。紋切り型の表現をすればシュール。既に死語化しているか?脈絡のないボケは簡単そうで難しい。脈絡の糸がつながったままでどこまで飛ばせるかの勝負だと思う。焼き鳥屋のコントは設定の着想もよく面白さが期待できたが、メニューの時点で1回ボケているハードルを大きく超えるものがなく、手数も少なかったのでそこまでは笑えなかった。Bブロックだったら勝ち上がれなかったはず。しかしファイナルのカニのストーカーはたたみかけるボケの数と、カニ好きという糸をつなげたまま繰り出される想像を超えたアイデアが面白かった。B'zやでかいカニ身は笑った。たた大落ちの圧縮キューブがもう一声欲しかった。カニ好きを殺すにはちょっと方向性が違う、糸が切れてしまった感覚があった。

 

天才ピアニストはドアの強度チェックだったオチが良すぎて、後半までその設定を活かせていなかった。ファイナルの牛脂は個人的には優勝だった。しかしネタ終わりに必ずコメントでする小ネタがたまに面白くなくて冷めたw ネタ以外でそんなに頑張らなくていい。Aマッソは今大会の盛り上がりと幅を広げた貢献度が最も大きかったと思う。1本目の後半への爆発力は素晴らしかったし、ファイナルはプロジェクションマッピングの斬新さに驚いた。特に前半の使い方にはお洒落感もありコレは傑作になる予感もあった。ただ後半の使い方がダサかったのと大落ちのM-1の審査結果ネタは全く面白くなかった。

 

全組の感想を言えるほど全体のレベルが高かったとはいえない。ABブロックの差が大きかったのが特に残念だった。女ガールズとスパイクのネタはもっと見てみたい。

 

番組終了後想像通り、審査結果や審査方法への不満が数多く投稿されていた。たしかにメリットが分からない「勝ち残りノックアウト方式」には疑問を感じた。M-1式以上にブロックの1番目は不利だと思う。ましてやジャンルが自由なので漫才VSコントの評価をしないといけない。1本目の漫才が面白かったとしても、4本目に突拍子もないコントをされたらどうしても得点にインパクトと新鮮さが加わってしまう。今のところ考え得る最善の方法は3組ごとの勝ち残りだと思う。これは何度か語ったことなのでここでは割愛。

 

どんな賞レースでも順位の不満は出てくる。個人的には今回の結果に大きな違和感はなかった。ただオダウエダは運もつかんでいたなとは思う。先にも書いたけれどBブロックだったら勝ち残れなかったと思うし、ファイナルも漁夫の利的な部分があった。審査員のコメントを聞いていても抽象的で的を得たものは少なく、面白さよりも構造のうまさを評価している人が多かった。悪い方の例で申し訳ないが今回のヒコロヒーくらい随所の小ネタが面白さではなく、フォークっぽさとロックっぽさの例えを羅列しただけになってしまうと設定のうまさも飛んでしまうくらい評価が厳しくなる。茶々にも近い感じがあった。面白かった時だけ設定や組み立て方が加点されるのもおかしな話である。純粋に面白さだけで比較する場合は、対象の2組の時間差があまりないことが望ましい。面白さの度合いなんて意外と後のネタのインパクトによって改ざんされてしまう。そういう意味では初代M-1チャンプの中川家は凄いんだけど。

 

今回はシステム的な欠陥が大会に水を差す結果になってしまった。特にファイナルに残った3組がどれも良かっただけにもったいなかった。全組に気迫や緊張を感じたし、ファイナルが3組とも自分たちの前のネタを超えてきた大会なんて記憶にないよ。