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THE FIRST SLAM DUNK & スラムダンク 感想 考察 

公開して2~3日しか経ってないのに両極端な感想が飛び交っている。はっきり言って原作と違うとかアニメと違うとか思いながら観てたらもったいない代物。過去作に思い入れのある部分も十分に分かるが、そこは一旦切り離してTHE FIRST SLAM DUNK単体として楽しむべきだと思う。

 

表現方法には媒体によって一長一短あり、特に映画の短所としては時間の制約が大きい。ほぼ2時間ですべてを網羅することは不可能なので何かを加えれば何かを省くしかない。原作の31巻分すべてに対して違和感のない新作にすることは不可能だしナンセンスだと思う。開始から30年以上経ったリメイクをただの延長線上にある作品として出す方がむしろ違和感がある。真の信者なら維持より改新を望むべきではないだろうかと誰に言ってるのか分からない意見を述べる。私はキン肉マン信者でスラムダンク信者ではないのでより客観的な考察が出来ると思うw 本日キン肉マン連載400回おめでとうございます。なんのこっちゃ。ストーリー的なネタバレはなるべく無しで感想を記しておきたい。

 

スラムダンク信者になり損ねた理由としては、連載開始時に住んでるところが田舎過ぎて中学生ではジャンプをリアルタイムで読めず話題に乗り遅れたことに他ならない。小学生ではなく中学生にとってこのアドバンテージはなかなか覆せない。発売週に入手出来る者や売店が近所の者が羨ましかった。何週か遅れのジャンプは散髪屋で読むことは出来たのだが、根がへそ曲がりなので月刊誌と週刊マガジンに乗り換えた。そのためスラムダンクの連載開始に近い頃の週刊ジャンプの連載作品はあとからまとめて読んだものが多い。代表的なものでは「ろくでなしBLUES」やマサルさんなど。

 

キャラ立ちした仲間やライバルたちが次々登場しどんどん成長していく主人公。でもそれは桜木花道の進化の話というよりも井上雄彦の進化を見せつけられているかのようだった。誰しもが神格化する最後の山王戦。もう30年近く経とうとしているのにスポーツ漫画のみならず1戦の濃さにおいてこれを超えるものに未だに出会えてはいない。そしてさらにそれを伝説たらしめているのは、選手と同じように力尽きてしまったかのような作品の終わらせ方にもあるだろう。

 

今回の映画化、特にスポーツ漫画のアニメ化において常に付きまとう危惧。動きを入れると急にちゃちな感じになってしまうこと。漫画の場合は静止画のつなぎ合わせなので間の動きについては読者は想像で補完している。描く側もカッコいいところだけ描けばいい。しかし予算の少ないアニメなどは特に何枚もの動きを制作出来ないという物理的な制約があるため使いまわし等で残念な仕上がりになるパターンが多い。たまたま前日の夜にNHKの「弱虫ペダル」を見てしまった。多分令和制作の最新作なのに昭和のアニメかのような動きの作画に悪い意味で驚愕した。ほんとに大げさでなく。先入観だけどNHKってその成否に民間企業のようなリスクがないからかとんでもないクオリティの差がある。おそらく監督のリスクがないことの受け取り方の差だと思う。挑めると考えるか適当でいいと思うか。

 

井上雄彦がほぼ総指揮の時点でどういう作品になるにしろ妥協作ではないことは確かなので、そういう意味では安心感を持って劇場に向かえた。こだわりが強い分あとはそのベクトルがどこに向かうのかが気になるところ。2日目に行ったら関連グッズは1個も売っていなかった。転売ヤーどもめw コースター?だけもらって入場。クソ長い宣伝を見させられてようやく始まった。音響効果か斜め後ろから聞こえた風の音の方に振り返ってしまった。映画館の醍醐味は音だと思う。

結論から言うと素晴らしかった。特にアニメの方に思い入れはないので声優は気にならなかった。むしろ声優っぽい大げさな感じが少なく、リアルな画像とマッチしていたように思う。CGも枠線のある絵と融合されているので見やすく違和感もなかった。これはこれから制作されるアニメに相当なプレッシャーが掛かるなあと思いながら観ていた。こんな人間の動きを描かれたら普通に作ったアニメの動きでは物足りなく感じてしまうのではないだろうか。そして何といっても音楽や効果音。オープニングは下手に時代に迎合しない選曲。そしてクライマックスやエンディングの10-FEET。前情報で知ってはいたけれど声が若く感じる。初め若いアーティストをプロデュースしたのかと思った。りょーちんのマーク突破シーンとの連動は最も熱かった。

 

面白かったのは井上雄彦のイメージと自分の想像が結構違っていたところ。監督も兼ねているのでおそらくすべてに指示を出しているとしたら、漫画では分からなかった部分も井上雄彦のイメージを投影していることになる。1点だけネタバレになるけど以前にも書いたマイスラムダンクベストシーンである桜木の「返せ」 漫画では桜木の動きを描かないことによってスピードを表現していた場面。これは正直描いてない漫画に個人的には軍配が上がった。そして肝心の返せの声が劇場版では凄くあっさりしていた。自分の中では勝手にジリ貧の桜木が「が...え...せ」って言ってるイメージだったのでビックリだった。

 

設定の後追いの付け足しや改編については個人的にはパラレルワールドの世界線と思うことが出来るので問題はなかった。信者の方にはきつい?他には良くない方の感想で多く見られた回想を挟む頻度。確かに試合が中断する回数が多いので気にはなる。ただ結末は知っているので冷静に観ることは出来た。1つ思うのはスラムダンクを全く知らない人が観たらどう感じるだろうかということ。なかなかそんな貴重な感想聞けんなあと思っていたら娘が1巻しか読んだことないらしい。面白そうなので読まんと観てこいと指示したw行くかは分からんけど。

 

総評的にはそもそも中心のストーリーも結末も知っているという前提で面白さ半減というハンデがある中でも面白かった。映像美と効果音で知っているシーンの臨場感が増し新鮮な気持ちで楽しめた。新エピソードについてはちょっと割く時間のバランスが気にはなったけれど全くなければ価値は減ったと思う。物語の背景が鮮明になり深みもましたのではないだろうか。今回はこれまでの考察に比べると格段に文句が少ないw 無理やり引き出すとすれば流川のアップの感じと波しぶきだけリアルすぎて違和感があった。でも雪のシーンは寝そべったことがない人には描けない映像とセリフに驚いた。結局褒めてるw

 

山王戦以外の超有名場面はほとんど簡略化か出てきていないので続編の可能性は高いと思う。どうせなら完全新作のVS名朋工業戦を作ってほしい。伏線やキャラだけ出して回収しないのは人気漫画としての責任を果たしていないと思う。スラムダンクのつづきと闘将!!拉麺男の三打鐘兄弟との決着は読んでからじゃないと死んでも死にきれないので宜しくお願い致しますm(_ _)m