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どうする家康 第1回 感想 どうなる殿潤

変革は大切である。物事が発展するときにはじめは違和感を覚える。チャレンジする者には必ず批判する者たちが現れる。

 

思えば傑作だった「真田丸」「おんな城主 直虎」以来2作ぶりの戦国大河「麒麟がくる」も開始は挑戦的だった。ドローンで始まるたどたどしいアングル、妙なカラーリングの衣装、反対に地味な建造物、血飛沫のない戦闘シーンなど違和感満載の演出に不安は大きかった。最終的にはコロナの影響をもろに受けてしまいエキストラの少ないこじんまりとした場面が多く少し残念な仕上がりになってしまった。それでもNHK制作陣の技術力の高さは素晴らしかったと思う。

 

今回開始前からやたらと宣伝していたVFX。ウクライナ情勢の影響があったようだがはたして出来はどうか。・・・違和感ありあり。百歩譲って精巧さはツッコまない。最も気になるのはロケ撮との光の差。色合いで自然光を表現する技術ってまだまだなんだと言わざるを得ない。室内感がハンパない。まだ多用するには早すぎた。このレベルなら使用頻度は下げた方がいいと思う。作品全体が作り物っぽく感じてしまう。そして今回さらに最悪だったのは騎乗シーン。これOK出したの誰?って言いたくなるくらいショボい。走っているシーンを撮られている俳優が可哀そうに感じてしまう。

 

はじめに書いたように先陣を切った者は批判にさらされる。麒麟のときのように縮小するのかこのまま突き進むのかは制作陣次第だろう。演出については理想と現実が乖離しているように思うが、もしかしたら大規模戦闘シーンでは本領を発揮するかもしれない。演出についての文句はここまで。軌道修正に期待する。

 

次にシナリオについて。冒頭の謎めいた戦場から逃げるシーン。あれ2回観させた意味あった?その時間を費やすべきシーンは他にあったような。なんせ実は強かった剣術シーンから桶狭間までが速い。その体術はなんだ? 弱腰のキャラとのギャップにも違和感しかない。すべては信長のせいになるのだろうか。10代半ばとはいえ元服済みの当主とは思えない幼さは松潤をしてやらせすぎ感が否めなかった。信玄や信長の漫画的な演出の登場も大河らしくない。どこかチープに感じてしまう。普通に出てきてほしい。

 

今回麒麟の初回以上に良かった点が見当たらない。松潤の謎の体術に凄い、とはなったけれど話とは見事にかみ合ってなく浮いてしまっている。事前の番組で岡田君との対談があった。格闘シーンの演出にからんでいるらしい。それは誰も何も言えないだろう。ドラマでもアニメでも物語に合った演出をしないと違和感が生まれる。戦国時代にガチガチに理にかなった格闘法での戦いはあり得るのか疑問。どちらにしても現代の感覚で突き詰めたらやりすぎ以外のなにものにもならない。

 

初回としては個人的にかなりよろしくないスタート。今回は麒麟のときのようにリアルタイム視聴から離脱したくないが早くも暗雲が見えてきている。原因はよくわからないが第1回の視聴率も戦国大河にはあるまじき数値をたたき出した模様。ここまできたら後は家康の人生のように登りつめていくだけなので、批判を気にせず頑張ってほしい。名作が必ずしも最初からクオリティが高いとは限らないのだから・・・。

 

ラッキーセブンや99.9など松潤主演のドラマは面白かったし、松潤の演技は嫌いじゃない。やっぱり少し偉そうなキャラの方が自然に感じる。彼が大げさな気弱キャラでも新境地を得られるかがこのドラマの成功のカギになると思う。