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吉田直樹 / 幸福宣言

iPhoneのデータを管理しているパソコンが古いのでちょくちょく音楽ファイルが消える。そう思うとありがたいのはCD。またコピーするのは面倒だけど半永久的になくなることはない。これまで何度もコピーしてプレイリストも作っていたけれど、コピー時間も尋常じゃないので今は浅田信一しか入っていない。クラウドに保存したりすればよいのだろうか。絶対に音楽データが消えない方法が知りたい。

 

自分の性分として音楽に限らず好きになったものはすべて網羅したくなる。その分間口は広いが残るものも少ない。古めのアーティストで唯一聴いていたチャゲアスは変な熱の冷め方をしてしまったし、新しめのアーティストではandymoriや高橋優などもすべてを逃さずとまではいけていない。そう思うと20世紀末から数年頃に聞き始めて残ったアーティストはずっと聞き続けている。出会った年齢のせいなのか個人的に豊作だっただけなのかは分からない。

 

SMILE浅田信一氏はプロデューサーをしながらも個人の歌もずっと出してくれているのでありがたい。さらにはSMILE再結成宣言まで飛び出した。the autumn stone菅原龍平氏も音楽活動はされているのでずっとチェックしている。Milco時代の「白くぬれ」は名曲。そしてもう一人が吉田直樹氏。彼の場合は2004年のアルバムを最後に完全に表には出てきていない。名前もありふれているのでネットでも完全に埋もれてしまっている。

 

何か病気をされて不本意ながら引退状態だと認識している。ただ年一以下で生存報告のようなブログをアップされているのでなんらかの活動はされているよう。今年はまだアップされていないけれど。再起の意志は感じられるのでずっと待っている。最後のリリースから既に20年近くになってしまっているわけだけど。

 

私は音楽に詳しいわけでもないし、環境的に昔ほど新しい音楽に触れる機会も多くはなくなった。40年以上生きてきてそれなりに世間に浸透した音楽の流行り廃りは見てきた。素人感覚では前半20年と後半20年では流行る楽曲の変化のスピードが全く違う。前半20年は演歌全盛期から歌謡曲、小室ファミリーにビーイング系、ラップ系の隆盛があったが、後半20年は意外にもアイドルやアニメ絡みの楽曲が幅を広げた。たまたま見たCDTVのランキングがアイドルとアニメに埋め尽くされていてびっくりしたことがある。

 

ウマさというと陳腐だけど宇多田ヒカルやMISIAの登場で、以降はテクニックという部分では2人を凌駕するような衝撃には出会えていない。ごく一般認知レベルで。でもなぜか古さも感じず普遍的に聴きたいと思わせる楽曲はというと、あまり奇をてらわずじっくり作られたものになってくる。もちろん理屈の分からない声質の好みとかもあると思うけれどなかなか説明は難しい。ラップ系にハマったこともあるし、流行りのものにいいなと感じることもあるけれど買ってまで聴くまでには至らない。

 

吉田直樹氏との出会いはファーストシングル「ブランコ」 完全にジャケ買いで大当たりを引いた感があった。わざわざ隣県のCDショップまで行って知らないアーティストの曲を聴きながら帰るのが至福だった社会人2年目の頃。ヨネックスのカラーリングとフォントを模したジャケットでバドミントンをする写真はあまりに見事で、手にしたときに私はたぶんニヤついていたと思う。面白過ぎる。どんな曲が入っているのか確かめずにはいられなかった。

ブランコ

夕方の車での帰り道。オーディオにCDを入れて発進した。イントロがカッコいい。夕陽のシチュエーションと時期が合っていたからだろうか、ジャケットとは違い全くおふざけ感のないその曲と歌声は私をやさしく包んでくれた。この時最初の仕事を辞める前の月だった。特に大きな出来事があったわけではないし、ましてや好きな仕事として選んだ会社だった。ただこの先ずっとここにいたら後悔するなと思った。その後これをきっかけに良くも悪くも想像しえなかった人生になったわけだけど。それを全肯定してくれるような歌詞だった。

 

少し斉藤和義似の声とキャッチーなメロディ、そして痒いところに手が届くような歌詞が結合して極上の歌になる。シングル10枚アルバム4枚を出して正味4年の活動でいなくなってしまった。好きな男性アーティストとして挙げた3人の中では最も聴きやすかったし大きくヒットしなかったことが不思議だ。

 

そんな彼が最後のシングルとして残したのが「幸福宣言」一連の彼の楽曲の中では異彩を放つ。こてこてのラブソングで一時関西の結婚式でも重宝されたみたい。これもユーモアのある歌詞とメロディに彼の声が凄く合う。ちょっと頼りなさそうなのに芯のある歌声。そうなによりも彼の声がいいのだ。20年を経た今の歌声も聴きたいなあ。

 

 

見た目なんかよりずっと大人な君は

この僕に見た事もない彩やかな色を添えるのさ

ラフな服も聴く音楽もピザの食べ方も 笑い方だとかクチグセまでもが君に染まった

 

なんでもない出来事が大切に思えるから ずっとそばにいたいんだよ

愛に形があるなら 愛が僕にも見えるなら それは間違いなく君なんだよ

 

吉田直樹 / 幸福宣言