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ワイドナショー 吃音協会の話

野口さんの守備範囲が広すぎるw 野球の話もお笑いの話も造詣深すぎ。

 

放送後のネットの反響を見ると松本擁護の意見が多数を占めている。水曜日のダウンタウンと吃音協会の話は永久に相容れないことだと思う。お互いが異なる主張をしているからというわけではなく、両者が言わないと世の中は理解していない人だらけだから。

 

水曜日のダウンタウンを見ているだけの立場の人は実害はないので松本擁護になりやすい。自分に影響がある場合もはたして同じ意見だろうか。私がもし仕事や急いでいるときに電話や打ち合わせでゆっくり話されたらイライラしてしまう。急ぎお願いしたいんだけどと言いながら話が回りくどかったり、あと回しでよいことを今言われるとやんわりと制止させてもらうことは多々ある。しかし吃音の知識があれば場合によっては対応も変わる。

 

常にすべての差別の知識を保てる人などいない。LGBTの知識が定着するまでどれだけの人が性差別を笑いにしてきただろうか。どんなに自分は差別をしないと思っていても無意識の差別は必ずある。誰かが発信しなければ気づかないことはたくさんある。すべての人がすべてのことに寛容なら済む話でもない。こちらを立てればこちらが立たない話などいくらでもあるのだから。

 

協会側の「吃音者に対する差別と偏見を助長する」という意見は今回の番組内容を考えると当てはまらないと思う。むしろ松本が言うように吃音者の働く場所を狭める危険性が高い。それでも日本吃音協会から発信がなければ松本の考えも聞けなかったわけだし吃音という知識もなく単純にどもりをあざ笑う人間たちは現れるだろう。双方の発信があるから吃音の知識と障害が見えてくる。おそらく今回の事だけではLGBTのような広がりとまではいかないと思うので、大多数の国民には届かずに来週には忘れさられていくのだろう。

 

LGBTの人たちの中にはもちろん公にしたくない人もいる。吃音にしても注目を浴びたくない人たちも多いだろう。周りの人間にしても気を使ってわざわざ指摘することはしない場合は多い。ただ悲しいけれど少数派が平等な権利を得るためには、その少数であることが努力の結果ではなく、持って生まれた障害であったり先天的な理由であったりすることを多数派にまず気づかせなければならない。知らない人からみれば単なる話下手か引っ込み思案に受け取られかねない。今でも同性婚について訴えると反発する者が現れるように、今までになかったことをすると理屈を超えた障壁がかならず現れる。

 

ダイバーシティという言葉が浸透した現在は、昔に比べれば少数派の障害の改善はしやすくなったはず。吃音についても今回協会が批判を浴びてしまったけれど、何かが変わるときにはどうしても痛みはともなってしまう。冷静になって話せる人ばかりではないし先入観が抜けない人や悪意を持ってくる人は少なからずいる。それは当事者でも。

 

日本吃音協会側が言いたかったことは何なのか。吃音者も非吃音者も冷静にまず受け止めることが必要だと思う。吃音とは何か。世の中が知らない人だけだったら松本が危惧するような面倒くさがるだけの社会になってしまう。吃音者でもしやすいことや、もしかしたら活かせることを浮き彫りにして共有した社会の先にしか、それぞれの障害を克服できた世界にはならないと思う。大変だけど。