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ゴリラーマン / ハロルド作石

ゆうれい自転車最高。

 

20年以上経っても面白さや絵の変わらなさに感動した。ただクオリティが高かった分だけ自分が年をとったことを瞬時に実感して複雑な部分もあった。なんというかいろんな感情が入り混じって不思議な感覚だった。

 

もともとの作品への思い入れと、全く読んでいない期間のギャップがここまであった漫画は記憶にない。大好きな漫画はだいたい買っていたのでどこかで忘れた頃に読み返したりしている。最近実家の親が片付けをはじめて、本をブックオフに持っていくからいるものを確認しろと連絡があった。行ってみたら処分するものなど何もなく、全残しを伝えたら呆気にとられていた。また読みたいから残してある。あることが心の支えなのだ。ただゴリラーマンは部室に全巻あったので買う必要がなかった。あれから二十数年たぶん漫画喫茶等でも読み返したことはない。

 

たまたまネットで見たゴリラーマン40の予告に興奮した。

いつまで読めるのか分からないけれど只今前後編無料公開中。

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ゴリラーマンって雰囲気マンガというか空気感が凄く良かった。ヤンキー漫画というよりも普通の高校生の日常を描いていた話が多かったと思う。謎のしゃべらないゴリラ顔の転校生は何故かあっという間に学校に溶け込み、読んでいる側も彼がしゃべらないことに何故か違和感がわかない。主人公?が一切しゃべらないのにあの面白さを成立させていたのはなんだったのだろう。分かりやすいギャグや勧善懲悪な話でもない。それなのにあの頃の中高生は心をつかまれた。

 

印象に大きいのはちょいちょい挟んでくる小ネタの切れ味。ベカちゃんのインパクト。ベカちゃんへのゴリースペシャル。マニアックなプロレス技の描写。シリアスな喧嘩のときの劇画っぽいタッチも良かった。相手をぶっ飛ばしたときのコマ送りな描き方も今回めちゃめちゃ懐かしかった。

 

後編で藤本とゴリラーマンが中庭で思い出話に話を咲かせている(といってもゴリラーマンはしゃべらないので藤本が一方的に話している)ときに見開きで1ページだけ高校生の時代になったときは自分も本当に戻ったような気がした。繰り返し読んでいたり、単純に昔の漫画を読んでいることでは感じられないタイムスリップ感はヤバかった。ドンピシャだったのもあると思う。現在の藤本の子供が女子高生だったことや健康を気にするジュンローなど完全に自分にリンクした40代の令和の世界だった。

 

これは近々全巻なんとかして読まねば気持ちが治まらない。