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仮面ライダー響鬼 その壱 火を吹く鬼

この作品を観るまでに最後に観た特撮は何だったか思い出してみる。教室で話題になっていたのはジャスピオンくらいまでだろうか。齢10くらいの頃。小学校高学年くらいになると漫画やアニメ、ゲームが娯楽の中心になり特撮からは自然と遠ざかっていった。その後の学生生活や社会人になっても戦隊やウルトラマン、仮面ライダーにメタルヒーローなどタイトルに聞き覚えがあっても直接見ることは全くなかった。

 

時は過ぎて、20台半ば義理の甥っ子が特撮にハマっているという噂を嫁から聞いた。「ウルトラマンコスモス」なんでも怪獣を倒さないらしい。ウルトラマン80以来ウルトラシリーズも観ていなかったので見てみようかと思ったがそのときは手を出さなかった。その後我が家にも娘が生まれプリキュアなどに興味を持ち始めたころ、また甥っ子からの情報で「今年の仮面ライダーは太鼓で戦う」と聞かされさすがに第2話から話のネタに見てみることにした。

 

話が違った。悪魔みたいなキャラが口から火を放ちクモ男を燃やしていた。仮面ライダーはどこ?太鼓はどこ?すると巨大なクモが現れて悪魔に襲い掛かってきた。どうもこの悪魔が仮面ライダーらしい。本来変身ベルトであるはずの場所から太鼓?とバチを取り出し巨グモに張り付けて打ち始めた。観ていない方には伝わっているか全く分からないが確かに太鼓形状の武器で戦っていた。しかも悪魔ではなく劇中では鬼と呼ばれているらしい。これは仮面ライダーなのか?でもカッコいい!!久しぶりの特撮は振り幅が大き過ぎたがクオリティーの高さに度肝を抜かれた。

 

上の説明だけだと免疫なしで観た現代の特撮がトンデモ設定で笑えてハマったという風にとられるかもしれないが、それはたまたまのキッカケに過ぎずその後この「仮面ライダー響鬼」に毎週魅了されることになるのである。ブレイドまでは全く観ていない。響鬼~フォーゼくらいまではほぼ見ていた。ウィザード~ジオウはたまに観るくらい。そのライダー経験値での評価としてはいまだに響鬼を超える作品には出会っていない。電王はとても面白かったが、響鬼に軍配があがるのは現実世界に鬼と魔化魍を出現させただけというリアル感が良かった。後半はいきなり街中で戦闘になったり等身大の敵が増えたりと残念なことにはなってしまったが、そのマイナス面を入れたとしてもいまだにマイ特撮ナンバーワンだと思っている。

 

一見地味な映像であり話ではある。ド派手な変身や戦闘シーン、今ほどの多様なフォームはない。各ライダーに複眼なしの共通したデザインが施され、戦いも山中や川べりや田舎など地味な場所でしか行わない。子供ウケは確かに悪かったかもしれない。うちの娘はまだ小学生にもなっていなかったが一生懸命観ていた。私がこの作品にのめり込んでしまった最大の要因は設定の小出しにあると思っている。何故彼らは巨大な敵と戦っているのか。主人公がライダーになる経緯も説明もなくシフト制で退治に勤しんでいるのは何なのか。武器を使い分けている理由は。何故バイクに乗らないのか。それは少しづつ紐解かれていくのである。この膨大な明かされていない設定が理由があるというミステリー的な探究心、それでいて各キャラクターの心の葛藤や成長も丁寧に描かれるドラマとしての面白さ。そしてデザイン。細かい魅力も今後紹介していきたい。