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カムカムエヴリバディ 最終週直前で感想 考察

朝ドラ視聴5年、10作目を完走しそう。

 

96作目の「ひよっこ」から105作目の「カムカムエヴリバディ」まで、なんだかんだで日々の楽しみの1つになっている。韓流ドラマは全く観なくなったけれど、おっさんになってまさか朝ドラにハマるとは思わなかった。いわゆる1クールのドラマと違うのは伏線回収に時間を掛けられるところだと思う。あれは実はこうではないかああではないか考えられるのは楽しい。しかし先日終わった2クールの「真犯人フラグ」は辻褄は合っているのに何故かしっくりこない残念な終わり方に感じてしまった。ずっと面白さを保ってきていただけに最終回が残念なのは惜しい。

 

「カムカムエヴリバディ」は主人公が2回変わる異色作だった。朝ドラは半年間もやっていると嫌でも登場人物に愛着が湧き感情移入してしまう。その分新しい朝ドラがはじまると少し寂しく冷めた感じで観てしまいがちになる。子役からのバトンタッチのときもその感覚に近い。後ろ2人の子供時代は主人公の親の時代にかぶるから気にならなかったけれど、それでも物語の中心人物が変わることは視聴者をその都度クールダウンさせてしまうリスクがあった。

 

さらに時代が戦時中を含む話の場合どうしても暗い要素が入るので、個人的にはこれまでの朝ドラに比べるとハードルは上がっていた。案の定というか2人目の主人公の勘違いも加わりなかなかハードなエピソード1だった。エピソード2は雰囲気が一変し見た目もストーリーも明るめな感じになった。エピソード3は2番目の主人公も一緒に暮らしていて大きな環境の変化はない。物語が進むにつれて視聴者が生きている時代に突入し、どんどん感情移入していく。比較的時代の新しかった「半分、青い。」や「おかえりモネ」よりも助走はじっくりで、クライマックスに向けてトップスピードを上げてきた印象。何よりもその一翼を担っているのがアニー役の森山良子だ。

 

始まる前はあまり期待はしていなかった。「わろてんか」や「おちょやん」のような喜劇の歴史であったり、「まんぷく」のインスタントラーメン、「なつぞら」のアニメのような興味を引く題材ではなかったし、戦前から始まることや3人主人公など不安要素しかなかった。実際1人目の主人公はバッドエンドでゆくえも分からなくなってしまう。話はつながっているけれど全く別の朝ドラのような第二幕がミュージカルのように始まった。3人目の主人公は性格設定もひょうきんで明るく、前半の重さを忘れさせる話になった。でも視聴者はだんだんと安子のことが気になってくる。娘との関係がこのままで終わってほしくない。最も苦労した安子に最後に報われてほしいと願っている。

 

この感想を書いているのは最終週の前の週の金曜日分をまだ見ていない状況。ただし最終週予告動画は観てしまった。世間はアニーが安子なのかそうではないのかで賑わっている。朝ドラでここまでの盛り上がりは過去5年で記憶にない。アニーが安子であるかのような要素を次々投入してくるがまだ断定はされていないし、最終予告にも決定的な場面はない。ここまできたらアニーは安子ではなかったという裏切ったシナリオをどうしても期待してしまう。そう思わせる要素もこれまであって、ナレーションがアニー登場時に女神と言ったこと。当事者の安子ではなく仲介役のような感じに聞こえる。ただしもしかしたら女神とはデイジーの可能性も残されているが。

 

ではアニーは誰なのか、なぜあんこやおまじないに反応するのか。それは安子と同居していた友達?飛躍すると絹ちゃん?と予想。あんこの作り方やおまじないのこと、そして生き別れた娘とのことを聞かされていたのではないだろうか。よくよく考えるといくら酷い別れ方になったからといって、るいと会いたいそぶりを全く見せないのは違和感がある。肝心の安子の所在は分からないが、アニーを介してきっと3人が会えることに期待したい。せっかく紡いだ3代のストーリーの締めくくりに相応しいシナリオを観たい。