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スーパーボランティア

 

日本中に感動を与え、己の無力さを痛感させられたスーパーボランティア尾畠春夫さん。これまでも数々の被災地に向かわれているという行動力には脱帽せざるをえない。今回大きく報道されたことで彼の存在は明るみになったが、恥ずかしい話こういった方々によって支えられている世の中で自分が暮らせていることに気づいていなかった。自分や家族の生活を守るので精一杯なんて尾畠さんには到底言えない。

 

もちろん誰しもが尾畠さんのように生きなければならないとは思わないし、社会貢献は千差万別いろんなかたちがあると思う。究極は尾畠さんの能力を分析し、捜索ロボットの開発なんて出来たら面白い。人海戦術も犬もドローンも総動員して見つけられなかった少年を30分で見つけてしまうなんて、こんな能力はレクチャー頂いてたくさんの人たちに伝承してほしいと思う。でもスーパーヒーローはまた次の被災地へ向かったらしい。そもそも伝えて会得可能な能力ではないのかもしれない。

 

クローズアップされている「人間は上に上がる方が好き」という話。いくらなんでも少年を見つけられた理由としては大雑把すぎると思っていた。たぶんそれなら捜索隊も既に向かっていた範囲ではないかと思う。帰りたいという思いがあるのに常に上に向かうとも思えない。それどころか素人な自分は9割方連れ去りだと思っていた。生きているにしてもこの近辺にはいないだろうと。

 

もう一点あまり注目されていないが尾畠さんは少年のいる場所を目指した理由として「カラスがカァカァ鳴くもんだから」と最初に言っている。こちらが本当の理由ではないかと思う。これまで多くの被災地を回ってきた尾畠さんだからこそ、疑わずそこを目指せたのではないかと。もしかしたら尾畠さんは少年の死も覚悟して向かったのではないだろうか。少年の「ぼくここ」という声に驚いたというエピソードや、警察の引き渡しの要求には断固として自分の手で返すという姿勢もそう思わせる。

 

弱った子供に狙いを定めたカラス。スーパーヒーローはその能力で、そのタイミングだったからこそ救えたのかもしれない。日頃から鍛えしかも実践も積み重ねて、颯爽と現れる。明日から真似の出来ることではない。私はダイエットすらまともに出来ていないけれど、65才になったときに少しでも人の役に立つ体づくりはしておこうと、ささやかな決意をしてみた。