私は1970年代生まれである。
小学生時代にハマったものと言えば、そう「キン肉マン」だ。
この年代生まれの男子のほとんどが好きだったのではないだろうか。私のまわりはそうだった。漫画、アニメ、ゲーム、キン消し等キン肉マン関連に費やされた時間やお金は計り知れない。まだインターネットもない時代。情報収集はアナログな方法しかなかった。もちろん週刊少年ジャンプをリアルタイムで読めれば一番早いのだが、田舎だったため入手して読めるまでに時間が掛かる。そうなると情報格差が生じてくる。悪魔将軍の正体を知っている者と知らない者、自分はしばらく後者だったため歯がゆい思いをした。何が僕らを虜にしていたのだろうか。
はっきり言って設定は雑(昔は多かったが)、絵が雑(特に初期)、話が雑(辻褄があわない)三拍子そろった漫画だ。死んでもいつの間にか生き返るし、初登場キャラはだいたいデザインが激変するかいなくなるし、そもそもなんで決着はリングでやるんだというツッコミどころ満載だけど、そんなことは気にしない潔さがゆでたまご先生なのだ。終盤に向けて盛り上がるストーリー、飽きさせない対戦カード、そして私的には王位争奪戦以降の絵のキレ。中井先生の丁寧で見やすく、そしてこれだけの見たことのないキャラを描きながらデッサンの違和感がない絵は素晴らしいと思う。
ここで素人ながら漫画の絵について。漫画の絵って画力が上がってコナレてくると、曲線を角度と勢いのある線でごまかすようになる傾向がある。なかなか伝わりづらいと思うが1例を挙げるとドラゴンボール。特に絵はリスペクト最上級の鳥山明先生。だけど最も分かりやすい。フリーザ編くらいからだろうか。特に悟空VSフリーザ決着寸前のところはそんなイメージがある。筋肉や服のしわ等、輪郭の部分を書道で言えばとめ・はらいのように曲げる。スラムダンクを参考にした書き方をしている漫画にもその傾向がある。それは良し悪しではないが、真似しているように見えてしまう。
ゆでたまご中井先生の絵にはそれがほとんどない。全くないと不自然になるので最小限で止められている。曲線部分はちゃんと曲線で描かれている。連載が長期化してきてもコナレない。WEBに移行してからはより丁寧になった気がする。初期のキン肉マンの絵の雑さは今では微塵も感じさせない。せっかくの良いデザインも技術も、コナレ感が見えてくるとガッカリしてしまう。丁寧さは技術の1つだと思う。
でも最近のコミックスの表紙などはカラーの付け方が丁寧過ぎて、私的には好みではない。「キン肉マン」のデザインとのバランスを考えると、もうちょっと淡白な方が良い気がする。これは完全に好みの問題だけど。
ところでなぜこのタイミングでキン肉マンの話題なのか。それはビッグボディ戦が始まったからに他ならない。運命の5王子。唯一瞬殺されて終わった偽の王子の1人。(本物のソルジャー除く)初登場時に何故かデザインだけで好きになった。小学生のこの時点でまだアメフトの知識は全くない。潜在的にアメフトが好きだったのだろうか。図工の時間に面のようなものを作った思い出がある。パワフルな活躍を期待したのだが。結果は咬ませ犬で終わってしまった。フェニックスと初戦で当たる時点で結果は予定調和、負けることは分かっていたが一切の盛り上げもなかった。
30年以上の時を経て登場したビッグボディの戦い。既にマリポーサが新フェイバリットを決めているので、ぜひ続いてほしい。夢の1勝をゆでたまご先生お願いします。