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RADWIMPS / 正解

成人の日の午前中。わけあって外出しにくかったので録画したドラマの未消化分を観ることにした。2クール前から落ち着いたら観ようと思っていた「この世界の片隅に」を観た。凄く丁寧に作られていて驚いた。アニメ映画版との確執があるかのような記事の見出しを見た覚えがあったが、とりあえずは純粋に感動した。もともと漫画が原作の作品で既に1度ドラマ化もしていたが、知名度を押し上げたのはアニメ映画版の功績が最も大きい。その流れでの2回目のドラマ化だったため難癖をつけられやすい状況ではあっただろう。完全オリジナルではない作品をつくる場合、同じ原作をもとにした作品同士の関係には細心の配慮が必要だと思う。原作との一方通行ならパクリという話にならないが、既に他の作品がある場合は演出方法などのそちらのチェックや許可も必要になり大変である。今回はトラブルがあったのか詳しいところは分からないが、どんなに作品が良くても超えてはならない一線があることを観る側も理解する必要はある。面白ければ何をしてもよいということはありえない。

 

それを観終わった余韻があるままにテレビを放送中の番組に戻した。NHKの18祭・RADWIMPSの再放送が流れていた。昨年のWANIMAも偶然見ていたが18才たちの祭り、大人になる前の思い出作り、楽しげな1000人が印象に残っていた。今年はRADWIMPSかと思いながら何気なく見ていた。「万歳千唱」は1歩踏み出せないでいる18才には最高のエール。これからの人生にやる気がミナギるような曲だった。1000人とのパフォーマンスもコーラスやドラムが美しかった。まさかこの後にさらに「この世界の片隅で」を超えてくる感動があるとは思ってもみなかった。

 

ボーカルの野田洋次郎から今回はもう1曲あり、「正解」という曲名であることが告げられる。ピアノで始まったバラードは高校時代の友人との関係を描いた歌で、その中であった葛藤への問いに答えを見出せないまま卒業を迎える。いつもそばにいた友がいなくなって答え合わせが出来なくなっても、自分の人生の中で自分で採点しなければならない。文章でおおまかなことを紹介しても陳腐になってしまうが、野田洋次郎の声とメロディと1000人の18才のコーラスが合わさって1曲目以上の感動があった。「万歳千唱」も「正解」も難解な言葉を使わず、それでいて軽々しくはない18才への核心を突いた曲だけど、特に「正解」は40才を超えたおっさんでも涙が出た。

 

あとで冷静に「万歳千唱」と「正解」の歌詞を読んでみた。文章で読むと「万歳千唱」の方が好みだし、明らかなポジティブソングである。誰に何を言われても自分の好きなことを信じて進めといった内容である。反対に「正解」には正解がない。答えのない人生が18才のこれから始まるんだという宣言で終わる。でもそれは逆に言えば人生は間違って当たり前だと言われている気がした。18才を既に2回過ぎたおっさんが、さらに3回目の18才の途中でリアルな18才たちに慰めてもらった。情けなさよりも正解を得られなかったことへの納得で清々しかった。アホみたいだけどもう一度18才の気持ちで頑張ってみようと思えた。

 

自分はどちらかといえば感情が揺さぶられるものは 歌<物語 なのだけれど、あの短い番組の中の一瞬で感情を昂らせた歌の力には驚かされた。もちろん全く演出がない状況で初めて聴いた歌に感動することもある。今回は1000人の18才との合奏という演出と映像が合わさってより感動させられた部分は否めない。それでも中心になる楽曲に力がなければ起こせない部分はあったと思う。正直なところRADWIMPSは有心論で止まっていた。今回改めて彼らを認識させてもらった。耳にしたことがない楽曲がたくさんたまっていると思うと楽しみである。

 

制限時間は あなたのこれからの人生

解答用紙は あなたのこれからの人生

答え合わせのときに私はもういない

だから 採点基準はあなたのこれからの人生

よーい・・・・・・はじめ