妻子か国か・・・妻子を選べば国もろとも殺されるは必定。
今回のための回想として描かれてもいいシーンがいくつか省かれていた。無粋な説明は不要ということか。1つは強右衛門編で信長がその妻子の顔をじっくり見ていること。他人の首ではバレる。そしてもう1つ信康と半蔵の関係性。幼き頃に遊び相手にもなっていた半蔵の介錯は妻子をなくした家康の心と同じだったと思う。
信長、家康、瀬名のうち誰かの意志でこの結末を変えられたか。避けられる方法は思いつかない。勝頼が裏切らなくてもどこからか漏れただろうし、それでも永遠に続く戦の世を止める方法は他にない。命を懸けてやるに値するという彼女の決心。それはまるでたとえ失敗したとしても、それによって夫が覚醒することを見越していたかのような決意。
少しだけこのシナリオの粗さがあるとすれば、武田はまだ家康も従っていたというカードを信長に突きつけることが出来る。おそらく描かれることはないと思うが、それも含んで妻子の切腹で信長は家康を許したとするなら懐が深い。ただ徳川家の弱体化も目論んでいた信長の立場を考えるとそれはありえないし佐久間信盛の追放も矛盾する。ならどうすれば良かったのか。それとも単純に喜んだ佐久間が気に入らなかっただけなのか。
まあここで些細な相違や矛盾点をついても史実はどうであったかは分からない。瀬名と信康が死んだか逃がされたかも分からない。ただ歴史の表舞台からは去ることになったことだけは事実だろう。数々の死地を乗り越えてきた家康にとって、避けられなかった妻子の死はどんな出来事よりもその後の行動に影響を及ぼしているのは間違いない。
今まで以上にただただ平和を願う人に昇格したか、平和のために悪事も辞さない人に変貌するのか、それとも稀代の策士になるのか。予告では月代に変わっていたけれど問題は中身が変わるかどうか。これまでやや覚醒したかのようなときもあった。でも弱い家康は変わらなかった。後半開始でどうなる家康。