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どうする家康 第43回 感想 うごかぬ内府

日本国内における戦争でおそらく最も有名な戦い。大河ドラマでも、ましてや戦場にいた人物が主人公のパターンは過去3~4回しかない。否が応でも期待せずにはいられない回だった。時代は進み演出にはCG、AI、VFXを駆使出来る。皆様の感想はどうだっただろうか。

 

決着は早かったとはいえ、規模や参加武将の複雑な人間関係を考えれば本来到底1話で処理出来るスケールのものではない。そうなるとどこにそして誰に焦点を当てるかが重要になってくる。今回の大河ドラマは以前にも指摘したが演者が多いせいか1人1人の掘り下げが浅い。そうなると唯一託せるのは石田三成しかいない。

 

まずは戦闘シーン。VFXによる遠近視点が交差する。ドローン視点からの急接近など迫力あるアングルが良かった。一番ごまかせるはずの遠目から見る戦場の部隊が整然とし過ぎていて最も現実感がなかったのが残念なところ。そして肝心の戦略のシナリオはどうだったか。

 

家康前進のみ。三成が何をしていたのかも小早川秀秋の決断も、そしてそれぞれの武将たちの思惑もほとんど描かれず。やはり家康の生涯を全部やっちゃうと1年かけても1つ1つが浅くなってしまうのか。三成の最期も「変わったのは家康殿」と言ってほしかったところだが主役は家康、ただの戦好きを認めて終わる。

 

戦場シーンは悪くなかったけどシナリオが物足りなし。それにあまりにも関ヶ原に勝てば天下人という認識も違和感あり。豊臣家も秀頼もいる中で、その恩顧の武将たちを整理出来てからの実感ではないだろうか。実際の戦場でおめでとうございますムードだったようには思えない。

 

今週の歴史探偵でVR関ヶ原をやっていた。刑部のシナリオ通りなら西軍が勝った可能性はあったかもしれない。でもこれを見てますます家康側の調略力の勝利と思えた。兵力が大きい大名の調略を優先的に行うことで、小大名はそれに従い裏切るしかなかったと言える。脇坂安治に選択肢はなかったのだろう。

 

う~ん、これはやはり関ヶ原までのエピソードが少なく関ヶ原で散る武将を主人公にした緻密な戦場の大河を見たい。最低3話は使って恭順と裏切りの関ヶ原を描いてほしい。2026年の大河は三成か刑部ではないかとにらんでいるが、確率的には立花宗成がきそうな気がしないでもないけど。