成功していたコンテンツのキャストとスタッフを一新することはそれなりの覚悟とリスク背負うことになる。間違いなく前作と比較されるのでクオリティを下げないことが大前提で、完全オリジナルの作品よりもプレッシャーは強いものになるだろう。新キャストをざっと見た感じでは普通のドラマなら面白くなりそうなメンツだったが、ストロベリーナイトには不似合いだと思えた。演技力というよりも姫川やガンテツに求められる非情さやリアリティが今回のキャストでは軽い。単純に前作キャストよりも年齢の見た目が幼いせいもあるだろうが、前作でつくられた雰囲気・暗さ・重さを出しづらいだろう。
今回のキャスト総入れ替えの一因は小出恵介の件だろう。制作はやりきったけれど局側が看板を下ろすには惜しいと判断したともいえるが、これだけ当たり役が多かった作品の演者を変えるなんて視聴してる側としてはそれこそ勿体ない話なので、前者の理由で一新されたと思われる。事情は異なるが「緊急取調室」の大杉連から塚地へのシフトは自然でなおかつ前任者へのリスペクトも感じられて素晴らしかった。小出恵介と津川雅彦の部分をキレイに収めることは難しかっただろうか。キャスティングの大切さが分かる1つの事例となってしまうかは、まだ1話では判断しないでおこうと思う。
電気グルーブ作品の出荷・配信停止撤回を求めた署名活動についての記事を見た。作品に罪があるかないかについては私の意見としてはないと思う。ワイドナショーで松本人志が薬物に頼った状態を「ドーピング」と表して作品にも罪はあるとしていたが、これはテレビや作品の制作者側として競争の中に常に身を置いているからこその意見であろう。実際世に出ていて素晴らしい作品の中にも何らかのドーピングをしてつくられた作品は多く存在する。演技がスポーツのように記録として直接的に影響するわけではないので、作品自体に罪はあるかと言われても物理的な証拠はない。
ただだからといって出来上がっている作品の出荷もOKだろう、という結論にすんなりは至れない。それならやったもん勝ちになってしまう。作品の良し悪しに直接影響がなかったとしても、薬物行為によって作品を量産出来たり精神負担が少なくてすんだりすればそれは不公平だろう。作品の評価に制作者自身の行動の評価はむしろ反映させてはいけないと思う。作品には罪はないが関係者のペナルティは作品に応じてプラスしてもいいのではないだろうか。社会復帰の妨げになるとか甘いことを言う人もいるが、まずは罪を償うことが先決だろう。
ストロベリーナイトがキャスティングを変えたように、電気グルーブもキャスティングを変えてというわけにはいかない。音楽関係でメインが変わって成立していたのはWANDSくらいしか思いつかないが、さすがにピエール瀧を変えるわけにはいかないだろう。ローカル局でやってた「しょんないTV」とかたまにみてたけど、薬物に手を出した罪よりも、いくつもの替えがきかないポジションをもらっていた状況でたくさんの人々を裏切ったということの方がはるかに罪が深い。もしかしたら関係者の中では早目の復帰を望む人も多いかもしれない。作品に罪はないが、当事者の罪は重い。