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しあわせは食べて寝て待て 感想 考察

久しぶりのブログ。タイトルのドラマがとても良かったので。

 

個人的に想像をはるかに超えて面白かった。そしてネット上で記される視聴者の支持もとても高かったように感じる。

近年面白く観させてもらったドラマは壮大で伏線回収が上手かったり、問題定義型の世の中に怒りをぶつけてくるような作品が多かった。

思いつくところではVIVANTや燕は戻ってこないなど。逆に笑えるドラマとしてバカリズム脚本作品が非常に良かった。しかし「しあわせは食べて寝て待て」はどこにも属してはいない。

 

主人公が病気になり、思い描いていた人生から外れてしまったためにどうやって立て直すかということが主題の作品である。フルタイム勤務も出来なくなり、違和感のあることにも反論する気力もなくなり人生設計もままならない。親には理解されず悶々とする日々。

この設定だけならさぞ暗い話なのだろうと思うし実際にそう思っていた。もちろん大笑い出来るような話でもないし明るい話ではない。でも観ているものは癒される。独特な空気感と特に大きく展開しない話に浸りたくなるのである。

 

この設定で「面白い」と思わせるシナリオや演者陣に脱帽。

 

このNHKのドラマ10枠、最近とてつもなく面白い。

しかしさすがに合わないのもそろそろくるかなと思っていたところにこのタイトル。

期待値は正直かなり低かった。

しかもネガティブで地味な主人公に、どちらかというと真逆なイメージが強い桜井ユキを配置。加賀まりこに宮沢氷魚もどちらかといえば強めのキャラクターだ。

ところが始まってみるとなんだこの雰囲気は。通常ドラマを観ていると次の展開が気になったり、勧善懲悪的なものを期待していて気分は落ち着いてはいない。しかしこの作品は第2話から癒しを求めて観ている自分がいる。

 

現実にはもう少し世知辛いのが世の中で、確かにそういう部分からドロップアウトした人たちの話なのだがこの団地はオアシス過ぎる。実際の集合住宅の組合や地域の近所付き合いなどには絶対異分子はいるし、私自身も苦手で積極的ではない。運動会の役員や奉仕活動などに参加はしているが、正直なところいまだに週休1日の会社で働いている身としては、貴重な休日は休みたいのが本音。

 

最近自分自身も体調を崩すことがあったので麦巻さんへの感情移入度は高かったのだが、こんないい人ばかりが周りにいる生活(もちろん自分自身こそが周りにいる人たちにとってのいい人ではない人間)というのはどこか異世界の非現実的な世界の話として観ていた。ドラマを観ている間だけの競争のない支え合うだけの世界。

 

先日新たにコメ担当大臣が任命された。本当にご苦労様と言いたい。コメが高かったらみんなで食べなきゃいいのに文句だけはぶつけてくる。でもそんな調整役を買って出てくれる人たちがいるおかげでなんとか暮らしていける。私ならどんなにお金を積まれてもごめんこうむりたい。

 

自分の生活で精一杯。他人の事や周りの人たちのこと。ましてや国民のことなど考えられる人は凄い。麦巻さんの自分を大事に出来るようになったという感覚は、イコールで他人に思いを寄せることが出来る余裕が出来たということなのだろう。大げさに言えば自分自身を大切にすることが世界平和につながるのだと。