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松本人志

はっきり言って今のお笑い業界の状況が松本中心になってしまっているのは松本の責任ではないと思う。

 

昨年NGKで久しぶりの漫才を披露したときにダウンタウンについて、というかほぼ松本人志について書かせてもらった。

そのときにも述べたが、松本一強の状況はお笑い業界にとってたしかに中田が言うように好ましくはない。ただ残念ながらこの状況はむしろ松本以外の責任だと思う。松本人志がダウンタウンが一生懸命仕事をした結果であり世間が望んだ結果なのである。オリエンタルラジオを含むダウンタウン以後の世代がダウンタウンを超せなかっただけの話。ダウンタウン直前はひょうきん族、お笑いBIG3、志村けんなど後付けで言うお笑い第2世代が台頭していた。

 

ダウンタウンだって順風満帆ではなかった。関西で絶大な人気を誇り「夢で逢えたら」で全国区となり、満を持してゴールデン帯の番組を持つも大コケした印象がある。今やそれこそテレビで復活したヒロミ率いるB21スペシャルと組んだ「笑うんだってば」 雰囲気は「だいじょぶだぁ」に近かったが空回り感が凄かった。当時フリルマンをそらで描けたよw 「ごっつええ感じ」が終了してしばらくもガキ使やDXくらいしか見なかった印象の時期もあった。

 

松本は映画製作や俳優業などで迷走していた時期もあった。対する浜田は俳優業でも成功し、おそらく意図していなかった歌でも大ヒットをかます。司会業では大御所でも先輩でも鋭いツッコミを入れ確固たる地位を確立する。何が凄いって普段おそらく本当に関わってないお笑いの賞レースを見ていない。公には松本は時事問題でもお笑いについても意見を出すが浜田は常にフラット。そのことを松本にツッコまれても笑ってごまかしている。ダウンタウンの業界の息の長さの要因の1つだと思う。同じ感じのコンビが爆笑問題、ロンブー、オードリーが挙げられる。

 

そもそもダウンタウンがここまで長期政権となってしまったのは二人の実力を前提としても、他にもいくつかの要因が考えられる。

①第三世代が少なかった。

もちろん芸人はたくさんいたが、番組で中心となれるコンビやトリオが少なかった。とんねるずとB21スペシャルとウンナンくらい。ここでも仕切れる浜田の存在が異彩を放つ。一歩引いた視点、客目線の彼の調整が前衛的な松本の仕事のブレーキになっていて嫌われないギリギリを攻められていた。一見浜田の方が無茶苦茶やってるように見えたがw

②次世代からの芸人が多い。

とんねるずやダウンタウンに憧れ芸人を志願する人が急増。売れ方も「ボキャブラ天国」「天然素材」など集団でメジャーになる芸人が多く、1組だけ抜きん出るのは難しかった。さらには第三世代の勢いが衰えていない。予定調和な笑いではなく、アドリブや企画ものが多くなり古さを感じさせなかった。2組とも若手芸人を集めた企画も多く、リーダー的な印象も世間に植え付けられていった感じも否めない。

③コンプライアンス問題

それこそ「みなさんのおかげです」や「ごっつ」などは今では放送できないような企画をバンバンやっていた。それが彼らが台頭出来た要因の1つだが、現在の芸人たちは同じようなギリギリの企画は出来なくなってしまった。なので手数が少ない状態でのし上がらなければならない。

 

私もなんとなく第三世代までの交代劇を見ながらダウンタウン後のお笑いもまた同じようにやって来るんだろうと思っていた。いつか彼らのお笑いにも古さを感じ飽きて笑えなくなってくる日が来ると。それが還暦の今も隆盛を極めている。お笑い業界に全く携わったことのない私が、今回の話題について上辺の意見で申し訳ないが記したい。何を隠そう松本が最も嫌うキリトリ記事が発端で書いているのだから。中田のYouTubeは一切見ていない。

 

そのネットニュースが目に入った瞬間の感想としては、お前がダウンタウンを引きずり下ろす力がなかっただけだろう、面白いか面白くないかだけの戦いに負けた理由を語るなという印象だった。再生数稼ぎの目算も感じるし。でも少し思うところがある。

 

松本は紳助から打診された受け身の立場からの始まりとはいえ、長らくM-1の最重要人物であることは揺るがない。しかし松本自身は漫才から身を起こした人間ではあるが、売れてからはほぼ漫才はやっていない。立場上安売りできない側面もあるだろう。根本はおそらく予定調和嫌いのせいだと思う。アドリブ漫才でない限り筋書きで落とすのが基本形。人の漫才を見るのは好きだが自分はやらない矛盾。それが最も顕著だったのは「一人ごっつ」だった。

 

ひらめきやアドリブを得意とする芸人の成り上がれる場所としてIPPONグランプリがある。まさに多人数一人ごっつ。ただしこちらは門戸は狭い。もともと知名度があるか他の賞レースで活躍出来た芸人に参加が限られている。キングオブコントにすべらない話、THE SECONDなど関わる賞レースは多岐にわたり、若手芸人どころか中堅芸人のチャンスまでを創出し続けている。松本の看板のあるなしで参加人数やクオリティは格段に変わるだろう。しかし中田のキリトリ記事で感じるのは、松本の庇護の元という印象も捨て切れない。

 

ダウンタウン世代までが駆け上ったきっかけは漫才という賞レースだから次世代もということが、もしかしたら第二2のダウンタウンが登場しない理由かもしれない。時代は変わりYouTubeや自力配信も可能な時代。松本が関知しないところから今までにないやり方で頭角を現す人間を待つしかないのだろうか。それなら中田主催で何か面白い企画を作ってくれればと思う。