Quinoss.com

物語の感想やニュースの意見等々を更新しています

麒麟がくる 第二十一回 感想 決戦!桶狭間

何故か過去の大河の桶狭間をあまり思い出せない。一夜城や姉川戦などは結構覚えていたりするのにこの大一番は記憶が淡い。豪雨や夜のイメージで天候が信長の味方をしたというザックリとした印象はあるが実際は日中だったらしい。

 

家康は今川を裏切ったわけでも織田の味方になったわけでもない描かれ方だった。子供の頃の回想シーンまで出して信長に味方するための伏線かと思いきや、今川の横暴さに我慢しきれず家臣とともに城を出なかったという流れ。いつも思うのが戦場にて裏切りや謀反を行う場合にどうやって末端の兵士にまで伝達したのかということ。気持ちの面でも忠義心で戦っている者もいただろうから、今から味方に攻め込むという説明は大変だろう。今川と松平との関係的に三河の兵たちにとっては待ってましたといった感じだったのかもしれないが。

 

家康が裏切らないという中で信長は今川の兵の分断を計る。兵力が近づけば不意打ちの攻撃側の方が有利だ。用心深い義元の性格を読み、少しづつ本隊の兵力を剥がしていく。義元側の諜報部隊も優秀で信長の兵力は常に把握している。ある意味この正確さが仇となった。義元は別動隊の進捗や敵遊撃部隊の状況を逐一確認し兵を送り込む。唯一織田本隊の動きだけ捉えられなかったのは、信長が行動を開始してから今川本体にたどりつくまで全速力休みなしで向かったためだろう。今川の諜報員が本陣に戻り織田本隊の動きを知らせる時間を与えなかった。正確な情報を待つだけではなく、予測し先手を打った信長の勝利といえる。

 

これが史実なら、かなり運要素が大きいと思っていた桶狭間の奇跡の勝利もイメージが変わる。結果が同じでもシナリオによってガラッと表情が変わるところも戦国ドラマの面白さの1つ。最終決着は義元の目に槍を持って飛びかかる毛利新介が映るという演出も素晴らしかった。やはり今回の戦いでも血なま臭さはほとんどなく「麒麟がくる」流の戦闘シーンだった。兵士目線の倒れるカメラや血しぶきのない切り合いは健在。最後までこんな感じでいってほしい。

 

唯一気になったのは主人公の場違い感。桶狭間の結果は遠く越前で知る方が現実的だし、信長の強さを光秀が感じるシーンも自然に作れたと思う。どこにでもタイミングよく現れるのはいいがちょっとやりすぎな気がする。忍びか。