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不倫と育休と夫婦別姓

本能なり欲望なり悪意なりで不倫をする人がいるから法律がある。誰もやらないことややれないことに規制はいらない。ほとんどの国で一夫一妻制であるのは大多数が不倫や浮気をされては困ると思っているからだろう。お互いが容認した仮面夫婦や、相手に合意を得ている複数恋愛(ポリアモリー)者という性的マイノリティにあたる人以外の多数派のためのルールとして不倫は法律違反と決められている。少数派の欲望や権利を個別に認められる世の中になってほしいとは思うが、人間社会の秩序を守りやすくするためにはどうしても大まかなルールとなる規制は必要だろう。

 

 

普段発信される三浦瑠麗氏の意見には賛同できることが多いのだが、この2つのツイートについてはどこか飛躍しすぎな印象がある。一夫一妻制をなくせばどれだけ面倒くさいことになるだろうか。杏さん側のプライバシーを見せ物にしている記事や番組は今のところ目にしていない。そして何より夫婦や家族の多様性が認められていないことが少子化の一因であるかのような発言に首を傾げざるを得ない。

 

文学作品を含む芸術が、命を削ったり何かを失うリスクを伴う先に生み出されるとしても罪が消えるわけではない。不倫への過剰な一斉攻撃はもちろん良くないことではあるのだが、一夫一妻制を維持しようとする社会の意思に異を唱える理由にはならないだろう。それは結果として素晴らしい和歌が残っただけで、ほとんどの不倫にはされた側の傷は残り芸術作品などは残らない。素晴らしい作品を生み出すために行う不倫のような昔の俳優や芸人の肥やし理論は今は通じないと思う。いけないことはいけないと発言できる世の中はどちらかといえば健全ではないないだろうか。

 

被害者にあたる杏さんについては注目されてしまうことは残念だけど、世の中の事件・事故がマスコミにさらされてしまった場合、被害者も悪い的な発言をする者たちが必ず現れる。今回の件については杏さんを悪く言う意見はほとんど聞かないが、被害者の正当性を示す意味でもどうしてもプライバシーが公にされてしまうことは避けられない。有名人であるからそのリスクは仕方がないという一般論で片付けるには可哀そうではある。でも人気商売的な仕事をしていて不都合な時は注目しないでといってもそれは難しいことだと思う。注目される商売には悪意を持った分子が目にしてしまうリスクはどうしてもある。善意の目で少しでも守ってやれる世間であってほしい。

 

それから最後の杉田議員を引き合いに出して、不倫だけではなくさまざまな夫婦の形を認めない世の中が少子化を早めたようなツイート。たぶん未婚での子育てや夫婦別姓があたりまえでない日本の環境が悪いと言いたいのだろう。あたりまえでない日本は悪いということには賛同するが、その風潮が少子化を加速させたということは言い過ぎだ。少子化の理由はたくさんあってその中でも賃金格差や年金、個人保護の副作用など「子供を持ちたくても持てない」「子供がいなくても問題はない」と思っている人が増えてしまったことが最大の要因であり、厳しい言い方をすれば多子化へチェンジさせるには家族形態などは二の次三の次だと思う。もちろんシングルで子育てしている人や別姓のために結婚を躊躇している人々に救いの手を差し伸べることは大切だ。弱者や少数派を蔑ろにしては絶対にいけない。でもそのことと少子化は切り離して考えなければ改善策を見誤ってしまう。夫婦別姓の制度化にいくら注力しても根本要因の改善がなければ子供の数は増えない。家族の多様性を認めることは個人の尊重で守られるべきことではあるが、少子化改善のための一環だと考えていたらむしろそれは後手に回ってしまう可能性がある。他にやることがあるだろうとつっこまれても仕方ない。

 

ここで私も関係のないことを引き合いに出したい。小泉進次郎大臣の育休の件である。過去に杉田水脈議員や小泉議員を擁護するかのようなブログを書いたことがあるのだが、正直なところ2人の政治姿勢に必ずしも良い印象はない。どちらも言いわけ下手というか、論理だった説明が国民の心に響いていないというかプレゼン力が低い。今回の杉田議員の夫婦別姓に対するヤジも何故反対なら説明しないのか全く分からない。過去のブログで考えを述べているようなので意見を戦わせればいいと思う。

杉田 水脈(すぎた みお) 公式ブログ : 夫婦別姓〜賛成の人が増えているようですが。

 

小泉大臣の強引にも思える育休取得だが世の中の賛否は分かれている。賛成派は大臣といえど育休の権利はある、大臣が取れば世間が取りやすい風潮になるという意見。否定派は大臣がプライベートを優先?税金泥棒、責任放棄といった感じだろうか。父の小泉純一郎は国民の扇動がうまかったのだが、息子進次郎は少々やり方が異なる。信念を貫くときは行動で示す、行動で変えるといったスタイル。まるで育児休暇の取得は正義であると言わんばかりで否定意見は黙殺する。スタンダードは自分で作るというような執念を感じる。やり方は決して民主主義的ではない。でも国民に理屈が通るのを待つ時間を考えれば無駄な時間を省き己が批判されても強引に進める。育休取得もまた少子化対策としては焼け石に水的ではあるのだけど、一向に進まない少子化対策に関しては強いリーダーシップで推し進める人物が必要ではないだろうか。国民の顔色をうかがっているうちに決め手なしで時間だけが進むことを考えると、彼のような人物に現状を打破してもらいたいと願わざるを得ない。