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決めつける罪②(日大アメフト報道)

「前監督に容疑なし」警察の客観的な捜査を終えての結論である。

 

Yahooニュースの見出しにはそのあとに「なぜ?」と付いていた。記事をアップした人の心情なのか世論を鑑みてのことなのかは分からないが、監督首謀説を前面に出し続けた地上波もネットも紙媒体のマスコミもマスコミ風情の一般人も、いつまで先入観だけで決めつけた罪を正義だと思っているのだろうか。逆に言えば嘘を拡散し続けることに罪はないのだろうか。

 

決めつける罪(日大アメフト報道) - Quinossの日記

 

監督の指示か選手の意志か。それはどんなに優秀な警察が捜査をしても100%断定は出来ない。それでも犯人を特定するための客観的事実を積み重ねたが前監督を黒とは出来なかった。「疑わしきは罰せず」刑事裁判の原則である。それでも前監督のせいだと決めつける理由はなんだろう。選手の思い込みという推測よりも、監督が仕向けたと推測する方が可能性が高いと思える根拠が分からない。キャラクターで判断?

 

ここまで来てもまだ監督が黒だと言いきっている方々の、監督がやったという勝手な妄想に対抗して、一応少しだけアメフトをしていた私が選手側の意志ではないかという勝手な妄想を記してみる。本来はしたいことではないし、世間の多数派のように罪を決めつけることは出来ない。だだ監督が悪いという偏った想像だけで、何故逆を想像してみないのかという疑問からである。

大前提として「想像だけで罪を断定してはいけない」と記しておく。

 

プレイヤーの立場になったときに純粋にチームの勝利のためだけに頑張れるだろうか。チームの規模が大きい場合はその前にポジション争いがあるため自己アピールが重要になる。自分のための戦い。人数が少なくても先輩やOBのプレッシャーが半端ない場合もあるだろう。ハッキリ言って勝利のために戦っているのか、保身のために戦っているのか分からなくなる。

 

ましてや過去それなりに活躍していて現状の評価が下がっている場合、監督に進言してチャンスをもらった立場上プレッシャーは大きかったと思う。相手のクォーターバックのプレーを阻止してこいなんて丁寧な言い方の指示はありえない。「QBを潰してこい」でやることの意味は同じだ。どんなプレッシャーがあってもこの意味をそのまま解釈するのはあまりにも飛躍しすぎている。さらにプレーが止まったボールデッド後に、その笛が聞えているのに潰しにいくのはやりすぎだ。

 

シチュエーションも悪すぎた。関学の右サイドへ展開するショートパスに対して、逆サイドからしかも相手タックル(ポジション名)のブロックを外側に交わしながらQBサックなど間に合うわけがない。もちろんスクランブル(急遽QBが走る)や逆サイドへのリバースプレーも可能性はあるので詰めておく必要はあるが、基本的に日大側右サイドのポジションは何も出来ず終わるプレーである。これがロングパスだった場合はもしかしたら彼はヒーローになったかもしれない。

 

関学がショートパスで終わる。笛がなった。何も出来ずに終わる。これは誰が彼のポジションをやっても何も出来ない場面である。彼はこう思ったのではないだろうか。それでも意志は見せておかなくてはならない。それに後付けで悪質タックルなんて言われているが、思いっきりタックルに行っても余程でない限りケガも起きない。彼は甘く見ていたと思う。20年以上前でも試合の動画は各チームで残し、そのあとの反省会や今後の戦略のために使用することは普通である。しかしこれが今の時代では簡単に世界中に拡散する可能性もある。しかし誰もが感覚的には他人事だ。動画なら結果ではなく行為の段階で裁かれることになる。実際被害者の相手QBはその後回復し日本一でMVPである。この動画がなければそんなタックルもあったななんて思い出の1つで終わっていたかもしれない。

 

鉄砲玉扱いのコメントもよく見るが、殺し合いの緊張感と学生スポーツのプレッシャーとを混同してはならない。どんなにプレッシャーがあってもルールに従うという心のブレーキの責任は、各プレーヤー個々に持つ必要がある。本当に具体的に指示を受けていたとしてもやってはいけないことには変わりはない。

 

根拠のない断言が好きな方々に断言すると「潰せ」は倒せ+気合をいれろの意味だと彼は認識していたと思う。いざプレーが始まったらこれは間に合わないと分かったが、何も出来ずに帰るわけにはいかない。笛もなったしボールも持ってないけどタックルで退場してくれればラッキー、ケガまではしないだろう。最悪反則罰退で大ごとにはならない。

実際このワンプレーは関学の目の前で起こっているが、日大はもちろん関学側もその場での抗議は少ない。ほとんどボール側を見ていて気づいていない。のちのち話が大きくなっていくのである。

さらにその後のプレーでその選手は関学側に抑え込まれ、全くプレーと関係ない場面で相手選手を突き飛ばしている。このあと退場するのだが、個人的な暴走にしか見えない。味方コーチもキャリアー(ボールを持っている選手)に行けと注意したらしい。プレーで自己アピール出来なかった分を態度で示そうとしたのか完全に空回っている。

 

精神的にプレッシャーに弱い。チャンスはなかなか訪れないし焦る気持ちも分かるが、露骨な反則を利用しても自己アピールは逆効果である。退場して冷静になったときに自分をやっと客観的に見れて涙したのではないだろうか。

 

一連のこの悪質タックルと名付けられた問題は、思い込みの激しい国民によって大問題となった。初めに危険行為だとバッシングし加害選手を引きずり出し、ラスボスがいるとみるや次は彼を一斉擁護で持ち上げた。これがもしかしたら真実かもしれない。でも別ルートも簡単に想像できるのに、安易な断定で敵を決めつけ攻撃する。己が間違っているかもしれないなんて1ミリも思わない。

 

別ルートの可能性が高いと思われる理由。

◇潰せと言って潰せるのは漫画の世界。スラムダンクでいえば豊玉高校?ましてや両チームや周りで動画を撮るのはスポーツでは当たり前なので、ワザワザそんなリスキーなことは狙わない。

◇悪意を持って指示をしていたなら、聞き込みで少なからず普段の言動の証言は出てくるはず。この時だけ監督が悪人になったとは思いにくい。

◇責任を取って辞めると言っていた選手は結局撤回する意思を見せた。監督指示であっても責任はあるはずなのに受け取り方があまい。つまりタックルが酷いことだと思っていない。責任逃れのパフォーマンスだった。

 

それでも彼の意志であるとは断定してはいけない。捜査が出来ない我々は所詮想像しか出来ない。推定無罪。どちらも無罪の可能性があるなら後は被害者との民事で解決するしかない。これだけ一部を切り取ったニュースに惑わされることは恥ずかしいと話題になっているのに「すぐに認定・すぐに憤慨」やめませんか。今回の件も含めて外部の者に裁く権利も断定する能力もない。誰かを断罪する場合は匿名ではなく、覚悟を持って実名でやってください。