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獣になれない私たち / 松田龍平

「下町ロケット」のような展開が早くダイナミックなストーリーで魅せるドラマも良いが、「けもなれ」のように大きな展開はないがじっくり進むドラマの場合は演者の力の見せ所が多く、配役が大きく影響する。

 

第8話は今まで以上に、松田龍平演じる「もう1人の主人公」根元恒星メイン回だった。これまで彼がメインキャストで出ていたドラマを見た記憶はなかったので、独特な演技をする俳優だなという印象で今回のドラマを見ていた。5tapでの会話の毒舌感は内容もさることながら、淡々と一定のキレ具合で話す演技でさらに不愉快感を出している。一見棒読みのような話し方の中に苛立ちや焦り、嬉しさなど表現している様は松田優作を彷彿とさせる。弟松田翔太の演技は「au三太郎」や「西郷どん」で見ていて似ている部分ももちろんあるが、別人の配役を想像できないフィット感は兄の方が強い気がする。今回の根元恒星も単純に毒舌で明晰な会計士というだけではない、合理主義とプライドの狭間でもがく様をひた隠しにする嫉妬男をうまく滲み出させている。

 

兄へのわだかまりも幾分とけて実家の解体写真に涙した恒星は次回以降どういう行動に出るのか気になるところ。そういえば生き残り頭脳ゲームに見覚えはあるが遊んだ記憶はない。晶が仲直りのアイテムに持ってきた場面で少しやってみたくなった。