今日の半分、青い。は心に刺さった。また鈴愛が感情をぶちまけた。いつものごとく師匠に対し、仲間に対し無礼千万キレまくり。ただ今回の鈴愛は灯滅せんとして光を増すろうそくのように見えた。残された力を使い果たす寸前のように。
堅い就職もせず、妥協した結婚もせず、夢を追いかけた成れの果て。無難なところに落ち着いて、波風を立てず平凡に暮らしていたら手に入れられたかもしれない幸せを、今になってないものねだりで妬む。途中まで夢を追っていてもほとんどの人間が列車を降りる。行きつく先は求めていた場所ではないことに気づく。列車に残されている者は一握りの成功者と、終着駅で勘違いに気づく愚か者のみ。もちろん世の中には勘違いや自惚れが功を奏し思わぬ場所で大成する人、才能はあるが運が悪く大成しない人もいる。いずれにしても自分がやりたかったことを全うした場合、リスクもリターンも大きなものになる。それがリスクの方だった場合、何もなく誰もいない終着駅でただ佇むだけでは終われないことは明白である。
後悔と自責の念にかられるか、はたまた他人に擦り付けるか、どちらにしても地獄の終着駅。後戻りは出来ない。その真っ只中にある今日の鈴愛は何故か美しく見えた。ゴール直前の倒れそうなマラソン選手や、最終ゴング前の瀕死のボクサーのように全身全霊で戦ってきた者が出すオーラを放っているように見えた。何の名台詞でもない、単なる罵詈雑言を浴びせる彼女の演技が心に響いた。自分も鈴愛のように生きてみたかった。